当院では、新人薬剤師として入局後、約3ヵ月程度の期間で一通りの業務を習得できるよう計画的に指導を行っています。新人薬剤師は1週間ごとに、『内外用調剤』、『注射薬調剤』、『散剤秤量』、『麻薬業務』、『抗がん剤混合調製』、『TPN調製業務』、『病棟業務導入』などの基本業務を一通り学習します(下表参照)。
期間 | 研修内容 |
1週目 |
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2~7週目 |
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8週目 |
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9週目 |
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10週目 |
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11週目 |
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12週目 |
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13週目以降 |
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4カ月目 |
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5ヵ月目 |
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6ヵ月目 |
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また、日々の業務終了後には、研修で理解できなかった項目が質問できるよう若手薬剤師(2-3年目)が疑問点に対するサポートを行います。新人薬剤師が「理解できなかったこと」、「わからなかったこと」をその日に解決できるように心がけています。
新人薬剤師も入局半年後から病棟業務を積極的に行います。前述した『病棟業務(導入)』で複数の病棟を見学したのちに、病棟薬剤業務の基本として【初回面談】と【持参薬鑑別】業務を学びます。その後、配属された病棟で、先輩薬剤師や各フロアを担当する薬剤主任から指導を受けて、少しずつ病棟活動の幅を広げていきます。 当院薬剤部では、フロア毎に担当主任と病棟活動の中心的役割を果たすリーダーを選任しています。また各フロアは個人ごとの担当ではなく、リーダーを含む複数人数によるグループ担当制であり、ベテランから若い薬剤師まで経験年数に幅のある薬剤師で構成されています。そのため、新人にとっては教育的な効果もあり、さらに相互に補い合うことができるため、急な休みなどにも対応できるような体制となっています。
当院は、24時間体制で薬剤の払い出しを行っているため、月に数回の日直業務や当直業務があります。入局後半年間で薬剤部内の中央業務を経験し、日直業務や当直業務に必要なスキルが習得できているかを先輩薬剤師が評価します。スキルの習得が確認できた時点から少しずつ、日直・当直業務に入ります。
新人薬剤師でも安心して当直・日直業務を行うために、以下のツールを利用しています。
調剤過誤対策 | 医薬品の照合・数量管理システムの利用 |
業務効率化 | 注射薬自動払い出し装置(ピッキングマシーン)の稼働 |
薬剤の問合せ | 問い合わせ記録データベースの利用 |
当院では、業務中に遭遇した問題点解決に向けての取り組みや病棟での薬学的介入に対して調査研究を行っています。調査による成果を、学会発表や論文投稿等を通じて地域社会に還元することにより、医療の発展に貢献しています。当院では、ある程度の経験年数に達した部員には、薬剤部の教員や先輩薬剤師からの指導を受けて調査研究を行うことを推奨しています。 また、昨今の専門薬剤師や認定薬剤師の取得要件にも学会発表や論文投稿などの学術的な項目が含まれています。当院には、多くの専門薬剤師や認定薬剤師が在籍しており、認定取得に向けたアドバイスを受けることもできます。